春のお彼岸から桜咲くころにかけては、春夏取り野菜の種まきの一番の適期(関東以北の寒・高冷地は2~3旬遅れ)です。日差しが強くなり、土のぬくもりが種々の野菜の発芽適温に達してくるからです。
種まきできるのは、葉根菜類では小松菜、ホウレンソウ、シュンギク、コカブ、ラディッシュ、レタス、クウシンサイ、ネギなどです。
冬に耕しておいた畑に、早めに全面に完熟堆肥と油かす、化成肥料などをばらまき、もう一度軽く耕して土に混ぜ込み、表面を平らにしておきます。そして、いずれの種類もくわ幅より少し広め(約15cm)のまき溝を、約5cmの深さに作ります。そろい良く発芽させるためには、溝の底面が平らになるよう何回も前後にくわを動かし土を細かく砕くことが大切です。土が乾き過ぎていたら種をまく前にジョウロで溝面だけを狙って丁寧にかん水しておきます。
まき終わったら1cmぐらい(ニンジン、レタスはごく薄く)の厚さに覆土し、その上からくわの背で押さえ、軽く鎮圧し種子と土をよくなじませておきましょう。覆土した上に、土が見えなくなる程度に、もみ殻薫炭または裁断した切りわら、あるいは細かくふるった完熟堆肥などで覆っておけば、強雨や乾き過ぎの害を回避でき、発芽ぞろいや初期生育を促すことができます。
果菜類で種まきできるのは、苗が短期に育て上げられるカボチャ、ズッキーニ、インゲン、エダマメ、トウモロコシなどです。いずれも葉根菜よりは高温好みなので、畑に直まきするのには2旬ほど早過ぎます。鉢育苗により簡単な保温をして大事に育てる必要があります。
いずれも3号(径9cm)のポリ鉢に、市販の育苗用土を詰め、カボチャ、ズッキーニは1粒、他は2粒ずつ種まきします。発芽には23~25度以上を必要とするので、種まきしたら鉢を並べた上に直接ビニールフィルムを覆い、その上にトンネル状にビニールフィルムを覆って、日中の陽光利用、夜の保温に努めます。寒い夜は暖かい場所に移し、フィルムの上に保温資材を掛けてやることも必要です。苗で畑に植え出せば、トウモロコシやエダマメの鳥害を回避できるメリットもあります。
坂木技術士事務所●坂木利隆
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