多くの地域では10月中旬から下旬を過ぎると低温のため秋冬野菜、特に軟弱小物野菜は正常な生育をしなくなり、また、それ以降年内に秋まきできる野菜はほとんどなくなります。さらに北風の当たる台地などでは、風のためにいっそう不適な条件になってしまいます。
防寒、防風の一番簡単な手段は、べた掛け資材(不織布)を用いる方法です。保温力は小さいですが、生育中のナバナ、リーフレタス、カリフラワーなどに適します。野菜の大きさ、畑の面積などに応じて図A、B、Cの方法を選択します。
この時期になると低温のため露地状態では種まきできませんが、ビニールやポリフィルムを用いてトンネル栽培にすれば十分間に合い、真冬から早春にかけて良品を収穫することができます。保温力はビニールが優れていますが、ポリエチレンでも十分効果を上げることができます。小松菜、ホウレンソウ、コカブ、シュンギク、春取りダイコンなどが対象です。
発芽して本葉2~3枚になるまでは、トンネルの裾に土を掛けて密閉しておいて構いませんが、生育が進み始めると密閉では日中の気温が上がりすぎ軟弱化してしまうので、晴天日には換気し、28~30度以上には昇温しないよう管理することが大切です。換気の方法は図1~3に示す通りです。換気穴方式は夜間も換気状態なので、保温効果は落ちます。しかし裾に土を掛けておくので、風に対しては強く、野菜の育ちはやや遅れますが、そろい良く育ちます。
さらに保温性能を高めるには、トンネル内に穴開きマルチをして種まきしたり、同じくトンネル内の野菜の葉上にべた掛け資材を覆うなど、2通りの方法をうまく併用する場合もあります。
風当たりの軽減と霜よけには、古くから行われていた畝内へのシノ竹立てや、栽培床の北側に、南からの陽光を最大限に取り入れるよう、入射角に合わせてよしずを立てて栽培する覆下栽培など、資材を上手に利用することも考えます。
エンドウなど越冬中の寒風害にやられやすいものは、株元をもみ殻や粗大な堆肥で覆い、風に振り回されないようにしてやるとよいです。
坂木技術士事務所●坂木利隆
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