原産地はアンデス山脈チチカカ湖周辺。日本には16世紀にオランダ人によりジャガトラ(現インドネシア)から導入されたのでジャガタライモ、馬の鈴状に芋が付くので馬鈴薯(バレイショ)の別名があります。
種芋を植え付けてから、わずか3ヵ月余りで、その十数倍以上もの芋が収穫できる、野菜で1番の短距離選手です。
栽培に当たってまず大切なことは、健全な種芋の確保です。種芋として売られているもの、休眠から覚めて適度に芽が伸び始めているものを早めに手配し、確保します。
品種はかつての「男爵」「メークイン」などだけでなく、用途別・食味・色・形など大変にぎやかになってきました。種苗会社のカタログ、店頭に並ぶ品種から自分好みのものを選びますが、「食べ比べ品種セット」や「インカ3兄弟」といった数種類を組み合わせたセットも楽しみです。栽培のポイントは(1)種芋の切り方、植え方、(2)芽の整理、(3)追肥の土寄せ、(4)収穫適期の判断、などです。
(1)の種芋は、図のように切り植え付けます。昔は切り面に草木灰などをまぶしていましたが、効果は曖昧なので、特にその必要はありません。
(2)は、たくさん出た芽をそのままにしておくと、本数が多過ぎ、小粒の芋になってしまうので、2本残して他はかき取ります。その時期は草丈16cm内外のころ。早く整理し過ぎると、晩霜害に見舞われたときに枯れてしまうので危険です。
(3)は、草丈12~15cmに伸びたころ、遅れずに畝の片側に追肥(1株当たり化成肥料小さじ1程度が目安)し、同時に10~15cmほど土寄せしておきます。少ないと芋が地上に出てしまい品質を損ねます。マルチの場合には、植え付け時に覆土を多くして後から土寄せを省く方法もありますが、深植えは地温上昇効果が劣るので、小面積ならこの時期にマルチをめくり土を寄せ、覆い直しておきましょう。
(4)の収穫は、茎葉が自然に枯れ上がってきたころが適期です。できるだけ晴天の土が乾いている日を選びましょう。多湿状態では芋が腐敗しやすくなります。
もっと早く、探り掘り収穫するのも家庭菜園の楽しみです。この場合、日にさらすとすぐ緑化してしまうので、食べる分だけにしましょう。
坂木技術士事務所●坂木利隆
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