夏から秋にかけて盛んにつるを繁茂させてきたナガイモは、晩秋になり寒風が吹き始めると、茎葉は黄変し、やがて枯死してきます。掘り取りはこのような変化をよく見極めて行うことが大切です。
(1) 掘り取り適期
葉がすっかり黄変し、全体が枯れ始めた状態になったときです。緑の葉が残っているころに早く掘り過ぎると、芋をすりおろした際に褐変しやすくなってしまいます。イチョウイモは低温に弱いので、葉が黄変、枯れ始めた早いころが適期ですので間違わないでください。
(2) 掘り取る日
できるだけ晴天続きを見計らって行うことです。雨後で畑が過湿状態のときに掘ると、貯蔵中の腐敗が起こりやすくなります。ナガイモは根を深く形成しており、地温が下りにくいので、低温害を受けにくく、天候を見て掘り取り日を決めるゆとりがあるので好都合です。
(3) 掘り取り作業の手順
つるを芋の首の上5~6cmの所で刈り取り、茎葉を片付けてから掘り取り作業に取り掛かります。ナガイモは組織が柔弱で、折れたり傷ついたりしやすいので、株の周り30cmぐらい離れた所から、スコップを立てるようにして、少しずつ慎重に掘り進みます。そして、芋の先端より少し深い位置まで、十分注意して土を取り除き、芋を傷つけないよう丁寧に掘り上げましょう。図のように幅の狭いスコップや鉄棒などを用いると効率良く作業を進めることができます。
(4) 掘り取り後の扱い方
掘り上げた芋は、直射日光や強い風に当てないよう、土や覆いを掛けて肌を乾かさず、変色させないようにして畑から搬出しましょう。
丸ごと1本の芋を短期間保存するには、新聞紙に包んで冷暗所に置くだけで大丈夫です。切ってある場合は、切り口が空気に触れないようラップできっちり包み、冷蔵庫の野菜室で保存します。
たくさん取れた場合は、排水の良い場所を選び、図のように穴を掘って埋め、雨が入らないよう土に覆いをします。貯蔵の好適条件は、温度4~5度、湿度85~90%とされています。低温貯蔵庫でこの条件を保てば長期間良い品質を保つことができます。
畑の条件の良い所では休眠状態に入った芋を、畑でそのまま春まで保存することも可能です。
坂木技術士事務所●坂木利隆
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