わが国への渡来は縄文時代の後期ともされる大変古い野菜。長い栽培の歴史の中で、全国各地に根付き、好みや用途に合わせて、たくさんの地方品種が生まれてきました。
これらの品種を取り入れ栽培してみるのも楽しみですが、中でも小カブ(金町系)は品種改良が進んでおり、生育期間が短く、色、形のそろいも良く、おいしいので家庭菜園にはお薦めです。作型を選べば、ほぼ一年中栽培できるのが楽しみですが、他の野菜に先駆けて、春一番に種まきできるのも魅力です。
2月は、立春とはいえ、平年なら1月下旬からの寒さが続く厳しい時期。最低気温もこのころ現れる年も多く、霜も降りるので、通常なら野菜の種まきができる時期ではありませんが、プラスチックフィルムをトンネル状に覆い、密閉すれば中は春。多くの地域(関東南部以西の温暖地、北関東以北の寒・冷涼地では3~4旬遅れ)で、春一番の小カブの種まきができるのです。
育て方は、なるべく早いうちに図のように1.2m幅のベッドを作り、全面に良質の完熟堆肥、油かす、化成肥料をばらまき、15cmほどの深さによく耕し込んでおきます。そしてくわ幅よりやや広めのまき溝を3列作り、溝底を平らにならしておきます。畑が乾いていたら、まき溝の外にはみ出さないよう、じょうろで十分かん水しておきます。種まき後にトンネルを密閉するので、当分水分を保つようにたっぷりかん水しておくことが大切です。
種まきは、種子が大変小さいので、厚まきにならないよう1.5~2cm間隔の薄まきにし、1~1.5cmぐらいの厚さに覆土し、くわの背中で軽くてん圧し、ベッド全面に再びかん水してからフィルムをトンネル状に覆い、裾には十分土を掛けて密閉し、地温の上昇を図り、発芽と初期生育を促します。
発芽して本葉1~2枚に育ったならトンネルの頂部に小穴を開けて換気し、外気温が上がり、トンネル内部が30度を超えるようになったら裾を上げて換気し、温度が上がり過ぎないように気を付けます。
本葉2~3枚ぐらいに育つにつれて、株間が込み合わないよう逐次間引きを行い、かん水して乾き過ぎないよう注意します。生育中2回ほど、列の間に化成肥料を追肥し、軽く土に混ぜ込みます。
4月上旬以降外気が十分暖かくなったら徐々にトンネルを取り外して外気に慣らし、根径から5cm内外に肥大したら順次収穫、利用します。葉もおいしいので捨てずに、有効に利用しましょう。
坂木技術士事務所●坂木利隆
|