トンネル栽培は晴天日には気温が外気より高く、日中の気温を生育に適切な温度(15~25度)に少しでも長く保つことが出来ます。さらに、20度適度の高温はダイコンのとう立ちを打ち消す働き(脱春化という)があります。このように、トンネルとマルチの利用は生育促進と、とう立ちを回避する効果があります。
一般地では、種まきは2~3月、収穫期は5~6月となります。
【品種】「天宝」(サカタのタネ)、「つや風」(タキイ種苗)はとう立ちが遅く、低温でもよく太る肌のきれいな品種です。「大師」(タキイ種苗)はやや短根ですが、密植ができます。
【トンネルの作り方】支柱の長さは、床幅70~80cmでは、差し込む長さを加え、200cm程度の長さが必要です。トンネルフィルムは、支柱の長さと同じ程度の幅を使い、マルチフィルムは、農ポリの穴開きで雑草防止には黒を選びます。トンネルの土台となる支柱を60cm間隔に挿し、フィルムの裾は土で埋め、フィルムの上に押さえる支柱を差し込むなど耐風性を工夫しましょう(図1)。
【畑の準備】種まきの2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて畑を深く耕して、土地を細かく砕きます。1週間前に化成肥料(N:P:K=10:10:10)150g程度を完熟堆肥1~2kgを施用します。
【畝立てと種まき・間引き】幅70~80cmの栽培床(ベッド)を作り、マルチフィルムを早めに張って地温を上げておきましょう(図2)。条間45cm2条、株間27~30cmとし、1ヵ所4~5粒をまいて、1cm程度の覆土をします。1回目の間引きは本葉1~2枚までに、2回目は本葉4~5枚の頃しっかりした株を1本に残します。
【トンネルの換気方法】日差しが強くなるとトンネル内は30度を超えるため、換気します。穴開きフィルムを使うと、換気の手間が省けます。穴無しフィルムでは裾を気温に応じて開閉するか、またはフィルムに穴を開け、次第に穴を増やして換気量を大きくします(図3)。3~4月はさらに気温が上がり、葉が茂ってトンネルの中が窮屈になる頃にはトンネルを剥ぎます。
【収穫】首の太さが8cmくらい、重さ1kgぐらいが収穫適期です。若取りして、葉も利用しましょう。なお、とう立ちが進むと芯が堅くなりますが、花茎(とうの長さ)が10cm程度なら問題ありません。
園芸研究家●成松次郎
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