ミツバは日本原産のセリ科野菜で、半日陰でもよく育ち、乾燥に弱いので、他の野菜の陰になる所に適します。種まきの適期は4~5月と9月です。
ミツバの発芽適温は20度前後で、10度以下の低温や30度以上の高温では発芽が困難です。発芽後は10~20度でよく成長します。なお、低温により花芽分化し、その後の高温・長日でとう立ちするため、温暖地では4月中旬以降、寒冷地では5月上旬以降に種まきします。
ミツバは青ミツバ(または糸ミツバ)、切りミツバ、根ミツバの3タイプがあります。青ミツバは青々とした葉を楽しむ品種で、店頭に並ぶのはほとんどが水耕栽培です。切りミツバは冬に根株を掘り上げ、これを室(むろ)という暗室に持ち込んで軟白させた物で、根を切って収穫されます。根ミツバは春から育てた根株に畑のままで土を掛け、早春に伸びてきたところを掘り取ります。ここでは青ミツバの作り方を紹介します。
【品種】「白茎三ツ葉(関西系)」(タキイ種苗)、「白茎みつば」(サカタのタネ)など。
【畑の準備】種まきの2週間前までに1平方m当たり苦土石灰100gを施し、よく耕しておきます。その後、化成肥料(NPK各成分で10%)100g程度と堆肥2kgを混ぜ、幅60~90cmのベッドを作ります(図1)。
【種まき】ベッドと直角に、20cm間隔の細いまき溝を作ります。まき溝に1cm間隔に種をまきます。種は好光性なので、隠れる程度(5mm)に土を薄く掛けます。発芽まで、十分潅水(かんすい)します(図2)。
【管理】早まきでは、ビニールフィルムでトンネルを作り、発芽を促します。不織布のべた掛けは、安定した発芽に役立ちます。
追肥は2~3週間ごとに、1平方m当たり30g程度を与えます(図3)。また、乾燥に弱いため畑が乾いたら潅水し、真夏の高温・強光下では黒寒冷しゃなどで日よけします。
【収穫】草丈20~25cmになったら、地際より少し上で刈り取ります。刈り取った後から、新しい葉が伸び出してきます(図4)。なお、冬には寒さで茎葉が枯れますが、春には越冬した根株から新たな茎葉が伸びてきます。
園芸研究家●成松次郎
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